手話を広める活動への想い

手話っておもしろい

2017年の夏から、大東市の川村義肢ショールームで開催の手話カフェに参加したことがきっかけで手話表現の語源などを教えてもらい、おもしろいなぁ、表現がかわいいなぁ、という単純な動機で手話を習い始めました。

手話のことを知れば知るほど、ろう文化、ろうの歴史、手話を禁じられていた時代があったことなど今まで知らなかったことを知ることができました。
また、聞こえない友達もたくさんできて、聞こえないということが、聞こえる社会の中でどれだけ大変かということも知るきっかけになりました。

手話を習ってはいましたが、ろう者の手話を読み取ることは難しく、使えない手話を習うのも自己満足なだけじゃないのかと躊躇う時期もありましたが、私の聴覚障害をもつお友達は私が少しでも手話を使って話そうとすることを喜んでくれ、わたしのカタコトの手話を見て私の言おうとすることを汲み取ってくれ口話を使って、何度も丁寧に教えてくれました。

私に何ができるかな?

いつも寄り添ってもらってばかりなので、聞こえない友達のために私も何かできないかな?と思った時、デザイナーで絵を描くことが私のお仕事なので、手話を身近に、楽しく理解してもらえる教材の一歩手前、もっと簡単なものがつくれないかと、誰にも頼まれていないのに、勝手に手話の絵本をつくりました。

手話と一緒に覚える十二支
ねこどしなぜない?

できた絵本は、大阪の手話うたパフォーマーの藤岡扶美さん(難聴)のコンサートで使っていただいたり、手話を広める活動をしている方にパワーポイントのデータを無償で提供したりしました。ですがデザイナーなので絵本のデータは作れても、個人なので大量に印刷する資金はありません。
「手話を知るきっかけづくりの絵本を広めたい」この想いを、故郷の三木市で、当時教育委員会の部長だった恩師に相談したところ、三木ロータリークラブ様からのご協力を得ることができ、三木市の小学校に寄贈することができました。

福祉の授業がある4年生全員を対象に、5年間継続していただきました。

個人の活動では限界がある

でも、いくら私が手話を広めたいと言っても、わたしのまわりの人以外、誰も知りません。
それでも個人的に絵本の寄贈やイベント企画などを続けていたら同じ考えの仲間に出会い2023年8月、NPO法人手話の実を設立することができました。

NPOになると、全国から問い合わせがきて、修学旅行の企業訪問などで手話を知らない若い学生さんたちに、手話やろう者さんと触れ合う機会をつくることができました。

協賛を募り、手話を広めるきっかけづくりの絵本おもわずやってみたくなる「かわいい手話」ぬりえ絵本もNPOから出版することができ幼稚園や支援学級などに寄贈することもできました。

互いの立場を尊重し合える場づくり

NPOで、ろう者、聴者、難聴者交えてみんな一緒に楽しめるイベントも企画しました。

わたしたちのイベントは聞こえる聞こえない聞こえにくい関係なく、聴覚以外の障害も含めその場に居合わせた人同士が、互いの立場を尊重し、寄り添いながらコミュニケーションできるやさしい空間づくりを目指します。

子供向けの企画が多いのは、家族や身近な人で、聞こえない、聞こえにくい人がいないと、聞こえない人と直接話す機会がないまま大人になり聞こえないということがどういうことかわかっていない人が意外に多いので(わたしもそうでした)、小さな頃から多様性を体験することで、どうやってコミュニケーションをとろうかと考える力が遊びながら自然に身に付く環境づくりをしていきたいからです。

また、個人で素晴らしい才能をお持ちのろう者、難聴者の活躍の場や手話通訳の登録をしていたり、勉強中の聴者がスキルを活かせる場も担っていきたいと思っています。

正しいよりやさしくありたい

私たちの活動「手話を広める」ということは、手話を知ることでその先にいる手話を使うひとたちのことを知り、寄り添う気持ちを持つ人が増えることを目指しています。

手話を知ることで、後ろから声をかけて気づかない人のことを「無視された」と思うのでなく「あの人はもしかしたら聞こえない人かもしれない」という選択肢を持つことができます。
そんな人が増えれば、とてもやさしい社会になると思います。

私の志は、すべての壁を無くし世界中の人々をやさしい気持ちにすることです。
正しいよりやさしくありたい

NPO法人手話の実
副理事 菊澤こゆり